自分で浮気調査をするリスクとは?違法になり得るケース・かえって不利になるケース
「最近、帰りが遅い日が増えた」「スマホを肌身離さず持ち歩くようになった」——配偶者の様子が変わったと感じたとき、まず「自分で確かめたい」と考えるのは、ごく自然なことです。費用もかからず、誰にも知られずに済むように思えるからです。
ただ、自分で行う浮気調査には、方法によっては法律に触れてしまうリスクや、かえって状況を悪くしてしまうリスクがあります。
この記事では、「違法になり得る調査方法」「違法でなくても不利になり得るケース」「自分でできる範囲と専門家に相談する選択肢」を整理します。自分で調べるかどうかを判断する材料として、お役立ていただければ幸いです。
自分で調べる前に知っておきたい3つのリスク
自分で配偶者の様子を確かめること自体が、一律に禁止されているわけではありません。ただし、始める前に次の3つのリスクを知っておく必要があります。
- 違法になるリスク:調査の方法によっては、刑事罰の対象になったり、相手から損害賠償を求められたりする可能性があります。
- 警戒され、証拠が消えるリスク:調査に気づかれると相手が行動を変え、その後の証拠収集が難しくなることがあります。
- 自分の立場が不利になるリスク:違法・不適切な方法で得た情報は、その後の話し合いや法的手続きで、かえって自分の「弱み」になり得ます。
それぞれ具体的に見ていきましょう。
違法になり得る調査方法
GPS機器の無断設置・位置情報の無断取得
かつては浮気調査の定番のように語られたGPSですが、現在は法規制が強化されています。2021年に改正されたストーカー規制法では、相手の承諾なくGPS機器等で位置情報を取得する行為や、相手の持ち物や車にGPS機器等を取り付ける行為が、新たに規制対象となりました(出典:警視庁「ストーカー行為等の規制等に関する法律の一部改正について」)。
夫婦間の浮気調査が常にこの法律の対象になるわけではないとされていますが、それで安心はできません。たとえば、別居中の配偶者の駐車場に立ち入ってGPSを取り付ければ住居侵入罪に問われる可能性が指摘されていますし、同居中であっても、相手の行動を常時監視する行為は、夫婦間でもプライバシー侵害として民事上の責任を問われる可能性があります。「夫婦だから何をしても大丈夫」とは言えないのが実情です。
スマホ・SNSアカウントへの無断ログイン
配偶者のIDやパスワードを本人に無断で使い、SNSやメールなどにインターネット経由でログインする行為は、不正アクセス禁止法に触れる可能性があります。不正アクセス行為には「3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金」という罰則が定められており、夫婦間であっても適用され得るとされています(出典:不正アクセス行為の禁止等に関する法律〔e-Gov法令検索〕)。
「家族なのだから見てもいいはず」という感覚でしてしまいがちな行為ですが、法律のうえでは、別人のアカウントへの侵入にあたり得る行為です。
そのほか注意が必要な行為
- 盗聴器・盗撮機器の設置:設置する場所や方法によっては、住居侵入罪などに問われる可能性があります。
- 相手宛ての郵便物を無断で開封する行為:刑法上の罪(信書開封)に当たる可能性が指摘されています。
- 浮気相手の自宅への押しかけ・待ち伏せ:ストーカー規制法や各都道府県の迷惑防止条例に触れる可能性があります。
どこからが違法になるかの線引きは、事案ごとの事情によって異なります。「すでにしてしまった行為が心配」という場合も含め、具体的な判断は弁護士にご相談ください。
違法でなくても「かえって不利」になり得るケース
尾行や張り込みが相手に気づかれる
尾行や張り込み自体がただちに違法になるわけではありませんが、慣れていない人の尾行は、距離感や視線、偶然を装う不自然さなどから気づかれやすいと言われています。一度警戒されると、相手はメッセージの削除や行動パターンの変更など、いわば「証拠隠滅」に動くことがあります。そうなると、その後に専門家へ調査を依頼しても、以前より難しい調査になってしまう場合があります。
確証がないまま問い詰めてしまう
「怪しい」という段階で感情的に問い詰めると、言い逃れの余地を残したまま、相手の警戒心だけを強めてしまいがちです。夫婦関係が決定的に悪化し、関係を修復する道も、冷静に話し合う機会も狭まってしまうことがあります。つらい状況ですが、「確かめてから話す」のか「今すぐ話し合いたい」のか、一度立ち止まって考える価値はあります。
違法な方法で集めた情報が、自分の弱みになる
一般に、民事裁判では違法に収集された証拠が直ちに排除されるとは限らないとされていますが、収集の経緯が悪質な場合には証拠として認められないこともあり得ます。それ以上に現実的なリスクは、相手からプライバシー侵害などを理由に損害賠償を求められたり、話し合いの場で「そちらこそ違法なことをしたではないか」と主張され、交渉の立場が弱くなったりすることです。真実を知るための行動が、ご自身の不利益に転じてしまうのは、あまりにもったいないことです。
心と体の負担が大きい
深夜の張り込みや相手のスマホが気になって眠れない日々は、心身を確実にすり減らします。疲れ切った状態では、この先の大事な判断を冷静に行うことが難しくなります。ご自身の健康も、守るべき大切なものの一つです。
自分でできる範囲と、専門家に相談するという選択肢
日常生活の範囲でできること
相手の権利を侵害せずにできることもあります。たとえば、気づいた事実(日付・時間・出来事)を淡々とメモしておくこと、家計や生活パターンの変化を把握しておくことなどです。こうした記録は、それ自体で何かを証明するものではありませんが、後から状況を整理したり、専門家に相談したりする際の大切な手がかりになり得ます。
今の状況を整理したい方は浮気状況チェックもご利用いただけます。
弁護士に相談する
離婚や慰謝料の請求を視野に入れる場合、「どんな事実や資料が必要になるのか」という見通しを立てるために、弁護士に相談するという選択肢があります。自治体の無料法律相談や法テラスなど、費用を抑えて相談できる窓口も一般に利用されています。
探偵に依頼するという選択肢
自分で動くことのリスクを避けたい場合には、探偵に調査を依頼するという選択肢もあります。探偵業は公安委員会への「届出制」で営まれており、2024年4月施行の改正探偵業法により、営業所やウェブサイトへの標識の掲示が義務付けられました(出典:警視庁「探偵業法の改正について」)。依頼を検討する際は、届出番号や標識の有無、契約前の重要事項説明が丁寧かどうかを確認することが、一般に大切とされています。なお、探偵であっても違法な手段による調査は認められていません。
身の危険を感じる場合は、調査より安全の確保を
配偶者から暴力や激しい威圧を受けている場合、調査に気づかれることでかえって危険が増すおそれがあります。その場合は、浮気の確認よりも、ご自身とお子さんの安全確保を最優先してください。
- DV相談ナビ:#8008(最寄りの相談窓口につながります)
- DV相談プラス(電話・チャット等で相談できます)
よくある質問
Q. 夫婦なら、相手のスマホを勝手に見ても問題ないのでしょうか?
A. 夫婦であっても、互いのプライバシーは尊重されるべきものと一般に考えられています。特に、パスワードを無断で使ってSNSやメールなどにインターネット経由でログインする行為は、不正アクセス禁止法に触れる可能性があります。行為の内容や経緯によって法的な評価は異なるため、具体的な判断は弁護士にご相談ください。
Q. 自分でつけた記録やレシートは、証拠として意味がありますか?
A. 日付や出来事のメモ、手元にある明細などは、それだけで浮気を証明できるとは限りませんが、状況を整理し、専門家が調査や交渉の方針を立てる際の手がかりになり得ます。何がどの程度の意味を持つかは事案によって異なるため、弁護士に確認しながら進めるのが安心です。
Q. 探偵に依頼すれば、必ず証拠は取れますか?
A. 必ず証拠が得られるとは限りません。相手の行動や調査時の条件によって、結果は変わり得ます。だからこそ、契約前に調査の内容・期間・費用・報告の形式について説明を受け、納得したうえで依頼するかどうかを決めることが大切とされています。
まとめ
- 自分で確かめること自体は一律に禁止ではないものの、GPSの無断設置やスマホへの無断ログインなど、方法によっては違法になり得ます
- 違法でなくても、相手に警戒されて証拠が消える、関係が決定的に悪化するなど、かえって不利になるリスクがあります
- 相手の権利を侵害しない「記録」は、自分でできる範囲の備えになります
- 迷ったときは、弁護士や探偵など専門家に相談するという選択肢があります
不安の渦中にいるときほど、冷静な判断は難しいものです。一人で抱え込まず、信頼できる相談先を頼りながら、ご自身のペースで一歩ずつ進んでいきましょう。
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